先に述べたように、私たちは、新しい魅力ある首都東京のまちづくり、という観点から云えば、天守の再建だけを考えているわけではありません。天守に続いて大奥や本丸御殿が再建できれば、それは素晴らしいことだと思います。確かに、大広間と大奥、それをつなぐ松の廊下など、本丸御殿が再現されて、それが、天守台の上に輝く天守閣と共に夜のとばりの中でライトアップされたら、それは、まさに、江戸時代のドラマを再現する歴史の舞台になり、他に類を見ない程の、最高の市民の憩いの場になることでしょう。しかし、そうした書院造りの建物をつくることを目指しつつも、江戸城を再建する以上、その前に、何と言っても、江戸城のシンボルともいうべき「寛永度天守」の再建こそが、最初にして、最大のテーマになるのではないでしょうか。