令和5年2月吉日
NPO法人 江戸城天守を再建する会
理事長 島田昌幸
任意団体の『江戸城天守の再建を目指す会』を立ち上げて、私たちが皇居東御苑に江戸城天守を再建する運動を本格的にスタートさせて18年になります。現在は目標をはっきりさせるためNPO法人の『再建する会』として活動しています。
皇居東御苑には、徳川三代将軍の家光が建造した寛永度天守がありましたが、明暦の大火(1657年)で焼失してしまったまま、すでに360年が経っています。幕府は当初、再建のために天守台を造りましたが、家光の異母弟の会津藩主保科正之の『今はその時にあらず』との進言を入れて、天守の再建は中断されました。当時の江戸市民50万人のうち10万人が焼死したといわれる大惨事の直後のことで、資金も資材も民生安定のために優先させるべきだとしたこの英断が、その後の200年間の社会の安定と発展をもたらす礎となりました。天守再建計画は、その後も持ち上がりましたが、幕府の財政難のため実現せず、現在に至っています。
私たちの運動は、この中断された天守再建を令和の時代に実現したいということなのです。寛永度の天守は世界最大級の木造建築物で、文化や技術の最高水準を示すものでした。江戸―東京と発展してきた都市のシンボルを復活させ、次の時代に引き継ぎたいとの思いです。日本産材を使い、伝統技術を駆使した今の時代にふさわしい文化財として将来に残すための『令和の築城』だと考えています。
ただこの運動も、長びくコロナ禍で満足な世論喚起活動が出来ず、足踏みを余儀なくされました。ここに来てようやく、コロナウィルスと共生しながら、普通の社会活動をしていこうとの模索が始まっています。私たちもそうした『新しい日常』に向けて運動を再構築していかなければなりません。コロナ禍の中でも続けてきた月2回のオンライン講演会に加え、天守再建の今日的意味と課題を改めて整理する勉強会をリアルとオンラインで立ち上げました。東御苑の散策ツアーなども順次再開します。昨年12月には東京都から『認定特定非営利活動(認定NPO)法人』として認定されました。これにより当会に寄付して下さった方は税制上の優遇が受けられることになり、会員拡大と合わせて財政基盤の強化につなげたいと考えています。
今年5月からは署名活動のやり方を変えました。これまでの賛同署名から、請願法に基づいた請願署名に切り替えました。請願趣旨や請願先などを明記し、氏名は自署、重複署名は認められないという厳格なものです。国有財産である皇居東御苑に天守を建てるには国会に直接働きかけることが有効だと判断いたしました。
今年も10月末から12月にかけて、神田古本まつりや岩本町・東神田ファミリーバザール、横浜のお城EXPOに参加します。署名活動や御城印の販売を行います。ぜひお出掛け下さい。