再建されるベルリン王宮の今-王宮再建上棟式に参加して-

ベルリン王宮再建の動きは、当会会員の神保さんによってもたらされ、平成24年1月、7月発行の当会「かわら版」で紹介しました。
今回は、この6月の王宮再建上棟式に招待された神保さんに、ベルリン報告を寄せて頂きました。
江戸城天守再建の実現に向け、NPO法人「ベルリン王宮振興協会」とも連携し、次の一歩を踏み出したいと考えています。

2015年6月12日正午、ベルリン都心の王宮再建工事現場において上棟式が行われた。中庭の特設会場で約1,500人の招待客が注視するなか、レッティヒ・王宮財団総裁の開式挨拶に続き、連邦建設大臣、ベルリン市長、首相府文化担当国務大臣、プロイセン文化財団総裁の祝辞が相次いだ。ダニエル・バレンボイム指揮によるシューベルト「未完成交響曲」第二楽章の演奏が続く。再建王宮の設計者であるステラ教授の挨拶をはさんで上棟祈願が捧げられ、工事監督が祝杯を飲み干したグラス叩き割る音が響くと、緑の枝で編んだ冠がクレーンで引き上げられていく。緑の冠は巧みなクレーン操作で王宮の西正面にそびえるドームの頂上まで達するとそこに「鎮座」した。
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2012年春の地盤強化工事開始の時点で訪れた際には、芝生敷きの広大な空き地にすぎなかった旧王宮跡地に東西184メートル、南北117メートル、軒高35メートル、ドーム高さ60メートルの再建王宮の鉄筋コンクリート躯体が完成した。王宮は、ブランデンブルク門からウンター・デン・リンデンに沿って、博物館島に至る区域のバロック様式や新古典主義様式の様々なモニュメンタルな建築群の中にあって、ベルリンの歴史的都市景観をまとめあげる結節点となっていたが、1943-45年の戦災後、1950年の爆破により姿を消した。それから65年の歳月を経て、その圧倒的な存在感はふたたび現実のものとなった。

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旧王宮の輪郭は既に整っているとはいえ、現時点で、その外観は灰白色のコンクリート外壁に513個の窓穴が穿たれた状態にすぎない(写真2)。しかしバロック期以来の伝統工法により煉瓦を1メートル近い厚みで壁面に積み上げ、歴史的資料に厳格に準拠した復元工程により、手作業で砂岩に彫られた巨大な彫像や装飾を埋め込んでいく工事が既に着手されている。工事は2018年まで続き、22,500平方メートルに及ぶ外壁が煉瓦壁で覆われ、3,000点の砂岩製彫刻が取り付けられることになる。この伝統工法・建材に基く外壁と彫刻の復元費用は全て民間寄付金で賄われる計画であり、総所要額1億5百万ユーロに対して、既に5千万ユーロが集まっている。工事の進展につれ寄付金額も増加しつつある。上棟式に続く週末には工事現場が一般公開され、見本市が開催されているような活況を呈した。
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王宮再建を主導してきたNPO法人「ベルリン王宮振興協会」と、将来フンボルトフォールムに入居するプロイセン文化財団の博物館群やフンボルト大学の説明ブースを始めとして、ベルリン市都市計画局、再建王宮を国家的な文化交流・外交施設として位置付けている連邦外務省など、官民のパートナー団体の説明ブースが王宮2階に立ち並び、訪問客はコンクリート剥き出しの王宮内部を回遊しながらベルリン都心部の全周に開けた眺望を楽しんでいた。

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