会員インタビュー

城模型創作家
長谷川 進さん

2つ目の江戸城寛永度天守を建てる

「歴史が好きで、とくに戦国武将を学ぶうちに、武将イコール城郭との思いが強くなり、全国のお城関係の書物を集めました」

自宅には、「城文庫」が出来て、その蔵書は現在、200冊を超える。書籍に載った設計図、絵図、古写真、そして築城当時に作られた木組みの城模型などを根拠として、新たに図面を描く。

印刷会社で廃棄処分となった段ボール、そして百円ショップなどで買った木材の細い角棒や丸棒はじめ、楊枝、竹ひご、塗料などを材料に、城模型を組み立てる。城模型を紙で作り始めたのは10歳頃で、中学生時代からは、全国の【城踏破】を目標に、23歳頃までに、沖縄を除いて全国の城を巡り歩いた。

「国宝や重要文化財、鉄筋コンクリートなど個性のある様々なお城を見るうちに、華麗で荘厳な城を自分の手で再建したいという思いが大きく膨らんできました」その果実は、姫路城、熊本城、大垣城、萩城、岡山城、彦根城、犬山城、白河小峰城、白石城、会津若松城、江戸城、松本城、高松城、新発田城、岡崎城などの模型となって実 を結んだ。

「展示してくれる人には無償で譲る」が長谷川さんの信条で、これらの模型は、ほとんどが関係自治体、企業などに譲られており、弘前城は青森県弘前市役所、白河小峰城はJR新白河駅、高松城は高松市「道の駅」、白石城は白石市になどと。そして江戸城は、「江戸総鎮守」といわれた東京千代田区の神田神社(神田明神)に奉納されている。

模型は大小様々だが、完成までには、半年から1年かかるが、今後の目標は秀吉の大坂城、そして2作目の姫路城という。これまでに、萩城、犬山城、白河小峰城、会津若松城、高松城はそれぞれ、2度築城されている。

「より完全な城を作るためには、前の作品は不完全なものと見るのです。いま完成した作品は、半端であり、完全なものではないのです。死ぬまで作り続けなければ“本物”はできないと思います」

今秋、二つ目の江戸城天守を作った。高さ79㎝、幅96㎝、奥行き55㎝で、実物の70分の1の大きさ。寛永15(1638)年、3代将軍・徳川家光が造り、明暦3(1657)年の、明暦の大火で焼失した「寛永度天守」だ。当会顧問の三浦正幸・広島大学大学院教授が作製した設計図をもとに制作した。前作と違い、屋根の破風の下につける懸魚(げぎょ)には金箔をはり輝きをだした(写真)。

長谷川さんは現在、“築城”50年の経験を踏まえ、全国で城模型作りに取組む人たちと、模型作りの情報、苦労話を交換する場を持ちたいと考えておられる。

取材・文 土屋 繁
(当会 理事)