会員インタビュー

東都観光バス株式会社 運輸部 指導課 課長
新井 直美(あらい なおみ)

城好きの新井さん。写真は国宝松本城

江戸城天守の建築美に関心

貸切専業のバス会社で、150人のバスガイドを指導している。新人の募集・採用から、内定後や入社後には身だしなみや言葉遣いの指導や教育に至るまで、仕事は多岐にわたる。

小さい時から乗り物が好きだった。入社して6年間は、バスガイドとして各地を回った。もちろん覚えることも多かったが、「一番前で外はよく見えるし、楽しかったですよ」。仕事で東京の街を改めて眺めたとき、広々とした皇居前広場から見る、ビル街と緑との落ち着いた調和が心地よかった。「どうして今まで気づかなかったんだろう」と、それ以来お気に入りの場所になったという。 「江戸城天守を再建する会」の会員になったのは、社長が当会理事長と懇意だったことがきっかけ。もともと城が好きで、『城のつくり方図典』を買って勉強していた。その著者が、江戸城天守再現のCGを制作された広島大学大学院教授の三浦正幸氏と知り、「入会といい、お城の本といい、なにかご縁を感じます」

城の歴史そのものより、伝統的な木造建築や宮大工の仕事に興味があるという。法隆寺の昭和大修理や、薬師寺の白鳳伽藍復興に一生を捧げた宮大工棟梁・西岡常一氏に傾倒、書を読みあさったほど。寺院の柱を見ても、釿(ちょうな)と鉋(かんな)の削り跡の違いをチェックするというから、かなりのレベルだ。「江戸城天守の再建の時には、どこかほんの小さなスペースでもいいから、鉋かけでもなんでも、制作に携わりたいくらいです」

東京の街は、新しいものと古いものが共存しているところに魅力を感じる。古地図と今の街を比べて、これほど変わっていないところが多いのは驚きだという。「ただ、やはり、東京の観光のシンボルがほしいですね。江戸城の天守は、ぴったりです」。夢はさらに広がる。天守だけでなく、東京駅前の大名小路の向こうに江戸城の正門があり、天守がそびえ、本丸があって、侍もいて…映画のセットのような簡易なものでなく、本物が再現できたら、これは世界的にもすばらしい観光の目玉になることは間違いないと強調する。

「愛宕神社から江戸を眺めた幕末の写真があるんです。大名屋敷の長屋をはじめ木造で瓦屋根の家が並ぶ街並みです。こういう文化がすたれてしまったのは残念。一部でも再現したいものです」誰よりも壮大な夢を語ってくれた。

取材・文 関川由都子
(トラベルジャーナリスト)