会員インタビュー

(株)伊場仙 代表取締役
吉田 誠男(よしだ のぶお)  リンク先はこちら

江戸文化の復活に奔走

日本橋小舟町のビルの一角で、扇子や団扇、江戸雑貨を製造・販売している「伊場仙」。1590年創業の老舗で、かつては浮世絵の版元でもあった。

1階の店舗には、江戸文化を感じさせるさまざまな小物類が並び、目を引く。「扇子は、ご自分用より、プレゼントされる方が多いですね。最近の若い人には、このような現在的な柄のものが好まれるようです」と、14代目のご当主・吉田さんが、2つ3つ扇子を広げてみせてくれた。

日本橋の「伊場仙」は創業1590年

店舗の隣には、江戸時代に出版した浮世絵、団扇絵と作製時の版木、織物や人形など、江戸の伝統文化に関係する美術品を月替わりで展示。「伊場仙浮世絵ミュージアム」として、中央区のまちかど展示館に指定されている。赤いベンチも置かれ、本物を眺めながらほっとすることができる穴場スポットだ。

「私が子供のころは、このあたりで凧揚げをしたり、釣りをしたり。家の物干し台からは富士山も両国の花火も見えましたよ。店は慶長年間の創業ですから、当時は江戸城の天守も見えてたでしょうね」

高速道路ができ、ビル群に囲まれ、あたりはすっかり変わってしまったが、日本橋に住む人の心意気は変わっていないという。4年に一度行われる「小舟町天王祭」は、「神田祭」「山王祭」と並ぶ江戸三大祭の一つ。庶民による荒々しい御輿祭りで、3年がかりで製作した御輿は1トンもあるそうだ。

現在、吉田さんは日本橋界隈に江戸情緒を復活させたいと活動している。 昭和通りの高速道路を廃止してグリーンベルトを復活。運河を作り、日本橋川から神田川まで水路を造って舟で観光できるようという壮大な構想だ。

「江戸の再現と再建です。日本橋には寿司や天ぷらの店も多く、外国人にも喜んでもらえるはず。2020年の実現が目標」と目を輝かす。

江戸城については、「昔江戸に上ったときは、江戸城の天守が見えてきて、江戸に入ったことを実感した。今ないほうが不自然なんです」と、日本橋の未来と江戸城再建を重ね合わせる。だから、「江戸城天守を再建する会」にごく自然に賛同して会員になったという。

本業に加えて未来の日本橋のために多彩な活動をこなす。全国でセミナーの講師や講演などの依頼も多く、江戸文化の伝道師として、今日も奔走している。

取材・文 関川由都子
(トラベルジャーナリスト)