会員インタビュー

認定NPO法人 江戸城天守を再建する会 会長
太田 資暁(おおた すけあき)

「山吹の花」の寸劇を演じる(川越城主途上祭り)

江戸の伝統のシンボルを後世に残そう

太田道灌公の第18代子孫だ。道灌の諱は資長(すけなが)で、太田家は代々、長男に「資」という字をつけてきた。息子にも資大(すけなが)と名付けた。

室町時代後期の武将・太田道灌は 江戸城を築城し、神田川の流れを変えて江戸の治水に貢献した。「江戸を拠点として選んだのは、ここが天然の要塞だったからです。当時は大手門の前までが入り江で、西には神田の山があり、東には沼地がありました」

道灌には幼少時代からの英才ぶりを物語る逸話が多く残っている。また、たいへん頭の切れる家臣であったが、一所懸命働いたうえに、主君にねたまれ、お風呂で暗殺された。この悲哀は、今のサラリーマン社会にも通ずると共感されるようになり、近年、じわじわと人気が高まっているのだという。

しかし、意外にも「子供のころから、道灌の子孫だと意識したことは全くありませんね」とのこと。意識し始めたのは、約20年前、50歳くらいになってからだという。「江戸城天守を再建する会」の会員になったのも、「道灌の子孫だからというわけではありません。道灌が建てた城には、天守はありませんでした。会の理念や目指すところに共感を覚えるからです」

2012年の訪日外国人数は837万人だが、フランスは人口4000万人に対して8000万人、アメリカは6100万人、中国の5800万人など、主要国と大きく引き離され、日本は世界で39番目。もし江戸城天守が再建され、それを東京駅や銀座、日本橋と結べば、一大観光地ができるはず。「世界の主要な都市には、必ず伝統と文化に彩られた偉大なシンボルがあります」。ニューヨークの自由の女神、ロンドンのビッグベン、パリのベルサイユ宮殿、北京の紫禁城等々。

伊勢原観光道灌まつりでの勇姿

「徳川時代初期の50年間、江戸には我が国最大の5層もの天守がそびえたっていました。私たちの再建運動は、この遺産を再現して後世に伝えることが目的です。日本の城の形は世界のどこにもない、戦国時代の苦難の歴史の中から生み出された独特の美しさを備えています」と太田さん。

「我々の願いは、我が国のたぐいまれな歴史と文化、伝統のシンボルを後世に残すことでもあります。壮大な夢が一日も早く国家プロジェクトになることを望みます」。まさに夢を確信に変えようという力強さが印象的だった。

取材・文 関川由都子
(トラベルジャーナリスト)