会員インタビュー

株式会社ゴンドラ オーナーシェフ
細内 進(ほそうち すすむ)

今でも朝5時に起きて菓子を作る(「ゴンドラ」にて)

若いころの留学経験から「東京にもシンボルを」

昭和8年(1933年)創業で今年80周年を迎えた洋菓子の老舗「ゴンドラ」。靖国神社の向かいにあり、パウンドケーキやアップルパイ、サバランなど、「ゴンドラ」の洋菓子は、古くから著名人をはじめ多くのファンに支持されてきた。細内さんは、その2代目シェフとして、現在も活躍中だ。

パリのル・ノートルで修業中(1961年)

昭和36年(1961年)、アジア人で初めてスイスの国立製菓専門学校を卒業したという経歴の持ち主である。海外旅行の自由化は、東海道新幹線が開業し東京五輪が開催された昭和39年(1964年)のこと。それより前の留学だから、情報収集や渡航手続きなど、さぞ大変だったことだろう。

ヨーロッパに暮らし、外から改めて日本を眺めると、日本のいろいろなものが見えてくる。やがて、東京には世界に自慢できる観光のシンボルがないことに気づいた。海外の主な都市には、パリのベルサイユ宮殿やロンドンのバッキンガム宮殿のように、どこにも美しく歴史を物語る宮殿や古城がある。

帰国後もその思いをずっと引きずってきた。場所がら皇居周辺をよく散歩する。 江戸城は1657年の明暦の大火で消失したまま。でも台座は残っている。その前を通るたびにいつも見上げては、江戸城の天守がないことを憂えていた。

「そこにたまたま江戸城天守再建を目指すという話を聞いたとき、これだ!と思いました」と、細内さん。

さっそく「江戸城天守を再建する会」に入会し、さらに会員を増やそうと、積極的に会員の勧誘を行っている。「自分に信念があり、江戸城の設計図ともいうべき、唯一の図面『江戸城御本丸天守百分之一建地割図(たてじわりず) 』のコピーなど、資料をきちんと見せて話せば、お声をかけた方は100%会員になってくれます。夢物語ではなく、現実のものとして理解してくれますよ」

企業や組織のトップの方にお声をかけるのがコツとのこと。そこからさらに組織的に広がる可能性があるからだ。顔が広い細内さんならではだろう。

「認定NPO法人 江戸城天守を再建する会」は、毎年2月に総会を行っている。今年2月の総会では、多くの新規会員を勧誘した会員の表彰があり、55人もの会員を勧誘した細内さんが、代表で理事長より表彰状を受け取った。「2020年五輪の東京招致が決まれば、さらに弾みがつきますね」と、にっこりと笑った。

取材・文 関川由都子
(トラベルジャーナリスト)